しきたりノート

弔辞の書き方|構成・長さ・奉書紙と封筒・読み方

弔辞は六つの部分で組み立て、3分・1,000字前後にまとめます。

故人への呼びかけ、訃報を聞いたときの気持ち、思い出、人柄、遺族への言葉、結びの順に書くのが一般的です。奉書紙か巻紙に薄墨で清書し、上包みに「弔辞」と書いて持参します。

弔辞とは、誰が読むものか

弔辞は、葬儀や告別式の中で故人と親しかった人が霊前で読み上げる、別れの言葉です。遺族から依頼されて読むもので、自分から申し出るものではないとされています。依頼されるのは、長年の友人、職場の上司や同僚、恩師、孫や兄弟など、故人の人となりをよく知る人が多く、一つの葬儀で一人から三人ほどが読むのが一般的です。

依頼を受けたら、よほどの事情がない限り引き受けるのが礼儀とされます。遺族が「この人に送ってほしい」と考えて選んだ役目だからです。どうしても難しい場合は、早めに理由を添えて丁寧に辞退し、遺族が別の人に頼む時間を残します。

弔辞の構成は六つの部分

弔辞には決まった型があり、次の六つの部分を順に書くとまとまりやすくなります。最初の呼びかけは、生前と同じ呼び方で故人に語りかける一文です。「〇〇さん」「先生」など、二人の間で使っていた呼び名にすると、聞いている人にも関係が伝わります。

項目考え方・補足
故人への呼びかけ「〇〇さん」「おじいちゃん」のように、生前に呼んでいた呼び方で語りかけて始めるのが一般的です。冒頭で自分と故人との関係をひと言添えると、参列者にも誰が読んでいるのかが伝わります。
訃報を聞いた気持ち知らせを受けたときの驚きや悲しみを、短く率直に述べます。亡くなった状況を細かく説明する必要はなく、ご遺族の前で病状や事故の詳細に触れるのは控えるのが一般的です。
思い出(一つか二つ)故人との具体的な場面を一つか二つに絞って語ります。多くの出来事を並べるより、情景が目に浮かぶ一場面のほうが、故人の姿が参列者に伝わりやすくなります。
故人の人柄思い出から見えてくる人柄や功績をまとめます。仕事関係なら経歴や肩書に触れてもよいですが、長くならないよう要点だけにするのが一般的です。
残された家族への言葉ご遺族を気づかう言葉や、故人の思いを受け継いでいきたいという決意を述べます。励ましすぎる言葉は負担になることがあるため、寄り添う表現を選びます。
結びの言葉お別れと感謝の言葉で締めくくります。宗教によって使う言葉が異なるため、仏式以外では「ご冥福をお祈りします」を避け、「安らかにお眠りください」などとするのが無難です。

中心になるのは思い出と人柄の部分です。思い出は多くを並べるより、情景が浮かぶ出来事を一つか二つに絞るほうが心に残ります。人柄は「優しい人でした」と言い切るより、その優しさが表れた具体的な場面を語ると、故人らしさが参列者にも伝わります。

長さは3分、1,000字前後が目安

読み上げる時間は3分ほど、文字数にすると800字から1,000字前後が目安とされています。葬儀は進行の時間が決まっていて、複数の人が弔辞を読むこともあるため、長くなりすぎないよう配慮するのが一般的です。原稿ができたら声に出して読み、時間を計っておくと当日に慌てません。

ゆっくり読むと、思ったより時間がかかります。緊張すると早口になりがちなので、句読点の位置で軽く息をつくつもりで練習しておくと、聞き取りやすい速さになります。

奉書紙と封筒、薄墨で清書する

正式には奉書紙か巻紙に毛筆で書き、上包みで包んで表に「弔辞」と書きます。墨は悲しみを表す薄墨を使うのが一般的ですが、筆ペンの薄墨タイプでも構わないとされます。最近は便箋に書いて白い封筒に入れる人も増えており、その場合は二重封筒を避けて一重のものを選びます。

項目考え方・補足
奉書紙に薄墨で書き、上包みに「弔辞」と書く正式には大判の奉書紙に毛筆の薄墨で書き、三つ折りにして別の奉書紙で包みます。上包みの表に「弔辞」と書くのが一般的な形です。
巻紙や便箋に書き、白い一重の封筒に入れて「弔辞」と書く巻紙や白無地の便箋に書いても失礼にはなりません。封筒は不幸が重なることを避ける意味で一重のものを選び、表に「弔辞」と記します。
書き出しは「弔辞」、末尾に日付と名前本文の前に「弔辞」と書き、読み終わりの後に式の日付と自分の名前を記します。弔辞は式の後にご遺族の手元に残されることが多いため、丁寧な字で清書します。

弔辞は読み終えたあと霊前に供えられ、遺族が保管することが多いものです。そのため、書き損じのない清書を用意し、末尾には日付と自分の名前を書き添えます。

弔辞の読み方と当日の動き

司会者に名前を呼ばれたら席を立ち、遺族と僧侶に一礼してから祭壇の前に進みます。遺影に一礼したあと、上包みから弔辞を取り出して胸の高さで開き、故人に語りかけるつもりで読み上げます。

項目考え方・補足
名前を呼ばれたら、遺族と僧侶(司式者)に一礼する席を立ったら、遺族席と僧侶や神職、司式者に向かって一礼してから祭壇の前へ進みます。
祭壇の前で遺影に一礼する祭壇の前に立ったら、遺影に向かって深く一礼します。
上包みを外して開き、胸の高さで読む上包みを外して左手に持ち、弔辞を開いて胸の高さに掲げます。遺影に語りかけるつもりで、落ち着いた速さで読むのが一般的です。
読み終えたら包み直し、表書きを祭壇に向けて供える読み終えたら弔辞を元のように畳んで上包みに戻し、「弔辞」の文字が祭壇側から読める向きにして供えます。
一礼して席に戻る遺影に一礼し、遺族と僧侶に一礼してから席に戻ります。

声が詰まってしまっても、無理に急ぐ必要はありません。少し間をとって息を整えれば、参列者は静かに待ってくれます。読み終えたら元のように包み直し、表書きが祭壇の側から読める向きにして供えます。

宗教による言葉の違い

弔辞は故人に向けた言葉ですが、葬儀の宗教に合わない表現は避けるのが一般的です。たとえば「ご冥福」や「成仏」は仏教の言葉なので、神式やキリスト教の葬儀では使いません。浄土真宗でも「ご冥福」は使わないとされます。

項目考え方・補足
仏式「ご冥福をお祈りします」「安らかにお眠りください」がよく使われます。「成仏」「供養」も仏式の言葉として使えます。
浄土真宗亡くなるとすぐに仏になると考えるため、「ご冥福」や「霊前」は使わないのが一般的です。「哀悼の意を表します」「お浄土から見守ってください」などと言い換えます。
神式仏教の言葉である「ご冥福」「成仏」「供養」は避けます。亡くなることを「帰幽」と言い、「御霊の平安をお祈りいたします」などの表現が使われます。
キリスト教「ご冥福」「成仏」「供養」は使わず、亡くなったことは「召天」「天に召される」と表します。結びは「安らかな眠りをお祈りいたします」「天国での平安をお祈りします」などとします。

宗教がわからない場合は、「安らかにお眠りください」のように特定の宗教によらない言葉で結ぶと無難です。

使ってはいけない言葉を確かめる

弔事では、重ね言葉や不幸が続くことを連想させる言葉、「死ぬ」のような直接的な表現は避けるのが一般的です。書き上げた原稿を下のチェッカーに貼り付けると、該当する言葉と言い換えの例を確認できます。入力した文章は送信されません。

忌み言葉チェッカーを読み込んでいます…

友人に読む弔辞の例文

長年の友人に向けた弔辞の例です。名前や出来事は〇〇の部分を自分の言葉に置き換えて使ってください。例文をそのまま読むより、二人だけが知っている出来事を一つ入れると、ぐっと故人らしい弔辞になります。

よくある質問

弔辞は原稿を見ずに話したほうがよいですか?
原稿を開いて読むのが一般的です。弔辞は読み終えたあと霊前に供え、遺族の手元に残るものなので、暗記して話す必要はありません。
パソコンで印刷した弔辞でも失礼になりませんか?
正式には手書きとされますが、最近は便箋に印刷したものを使う人もいます。気になる場合は、清書だけでも手書きにすると丁寧な印象になります。
弔辞を依頼されたのが急で準備の時間がありません。
通夜から告別式までの短い時間で書くことも珍しくありません。六つの部分に沿って、思い出を一つに絞れば、短くても気持ちの伝わる弔辞になります。
弔辞と弔電は何が違いますか?
弔辞は葬儀に参列して霊前で読み上げる言葉、弔電は参列できない人が電報で送るお悔やみの言葉です。弔電の書き方は弔電 文例にまとめています。

出典・確認日

表書き・水引・墨・お札などのしきたり:一般的な慣習をまとめたもの(2026年10月14日確認)。