会社関係の弔辞 例文|上司・同僚・社長が読むとき
会社関係の弔辞は、肩書と経歴を短く紹介し、仕事ぶりと人柄の思い出を語ります。
会社や同僚を代表して感謝と別れを伝え、最後に遺族へのいたわりの言葉で結ぶのが一般的です。経歴の紹介は全体の一部にとどめ、故人らしさが伝わるエピソードを中心にします。
会社関係の弔辞の特徴
上司や同僚、社長が読む弔辞は、個人的な思い出に加えて、職場を代表する立場で述べる点が友人の弔辞と違います。参列者には仕事上の付き合いしか知らない人も多いため、故人がどのような仕事をし、職場でどう慕われていたかを伝えることが大切にされます。
一方で、業績を並べるだけでは報告書のような印象になりがちです。数字や役職よりも、職場で見せていた姿や口癖、困ったときに助けてくれた場面など、同じ職場にいた人だからこそ語れる話を入れると、温かみのある弔辞になります。
肩書と経歴はどこまで入れるか
経歴は、入社した年、担当した主な仕事、最後の役職などを二、三文で紹介する程度が目安です。長い経歴を全部読み上げると3分の大半を使ってしまうため、故人の歩みがわかる要点に絞ります。正確さが求められる部分なので、年や部署名は人事の記録や遺族に確認しておくと安心です。
呼びかけは、生前の呼び方に合わせて「〇〇さん」「〇〇君」とするのが一般的です。社長や上司が部下に呼びかける場合も、改まりすぎない呼び名のほうが、故人との関係が自然に伝わります。
上司・同僚・社長が読む例文
立場ごとの例です。上司から部下へは仕事を任せた思い出と成長を見守った気持ちを、同僚へは肩を並べて働いた日々を、社長から社員へは会社への貢献への感謝を中心にしています。〇〇の部分は実際の名前や年に置き換えてください。
上司から部下へ
〇〇さん。〇〇部の部長をしております〇〇です。あなたの突然の訃報に接し、部の全員が言葉を失いました。先週の会議で、新しい企画を任せてほしいと目を輝かせていたあなたの姿が、今も目に浮かびます。あなたが入社したのは〇年前の春でした。最初の配属で私の部署に来たとき、名刺の渡し方もぎこちなかったあなたが、取引先から指名で相談を受けるまでに成長するのに、それほど時間はかかりませんでした。〇年前の大きな案件では、締め切り前の深夜まで資料を練り直し、翌朝の提案を見事にまとめ上げてくれました。あの日、会議室を出たあとに見せてくれた照れくさそうな笑顔を、私は忘れることができません。昨年からは新人の指導役も引き受け、忙しい合間を縫って一人ひとりの報告書に丁寧な赤字を入れてくれていました。その赤字の入った資料を、新人たちは今も手元に大切に置いています。あなたは、仕事に厳しく人に優しい人でした。後輩が失敗したときには、責める前に一緒に原因を考え、うまくいったときには自分のことのように喜んでいました。部の雰囲気が明るかったのは、あなたの人柄によるところが大きかったと思います。ご家族の皆様には、心からお悔やみ申し上げます。あなたが手がけてきた仕事は、部の仲間が責任を持って引き受け、形にしてまいります。あなたが示してくれた仕事への向き合い方を、私たちはこれからも大切にしていきます。〇〇さん、本当にありがとう。どうか安らかにお眠りください。
同僚へ
〇〇さん。同じ課で机を並べてきた〇〇です。昨日まで隣の席で一緒に笑っていたような気がして、今日こうしてお別れの言葉を述べていることが、どうしても現実のこととは思えません。私たちは同じ年に入社し、研修のグループも一緒でした。慣れない営業回りで二人とも契約がとれず、帰りの電車で落ち込んでいたとき、〇〇さんは駅前のラーメン屋に私を誘い、明日はきっと大丈夫だと笑ってくれました。翌月、私が初めて契約をとった日に、誰よりも先に拍手をしてくれたのも〇〇さんでした。その後も、締め切りに追われる夜には、どちらからともなく残業に付き合い、帰りにはいつも同じ自動販売機で温かい缶コーヒーを買いました。あの短い帰り道の会話が、私の支えでした。〇〇さんは、周りの人の変化によく気がつく人でした。忙しい時期でも、元気のない人がいると、さりげなくお茶を差し出して声をかけていました。課の誕生日会を毎回企画していたのも、行事の写真をきれいにまとめて配ってくれたのも〇〇さんです。そうした気配りに、どれだけの人が救われてきたことでしょう。ご家族の皆様、課の仲間一同、心よりお悔やみ申し上げます。〇〇さんが私たちに残してくれた温かさを、職場の中で受け継いでいけるよう努めます。〇〇さんの席には、しばらく好きだった観葉植物を置いておこうと皆で話しています。〇〇さん、同期として一緒に働けて、本当に幸せでした。ありがとう。安らかに眠ってください。
社長が社員へ
〇〇君。株式会社〇〇を代表して、謹んでお別れの言葉を申し上げます。君が療養中であることは聞いておりましたが、職場への復帰を楽しみにしていた矢先の訃報に、社員一同深い悲しみに包まれております。君は〇年に入社して以来、製造部門の要として、品質の向上に力を尽くしてくれました。〇年前、主力製品に不具合が見つかったときには、何日も工場に泊まり込んで原因を突き止め、取引先からの信頼をつなぎとめてくれました。あの時の報告書を読みながら、私は経営者として心から頭が下がる思いでした。社内の勉強会では自ら講師を買って出て、現場で得た工夫を誰にでも分かる言葉で伝えてくれました。君の作った手順書は、今も新しく入った社員が最初に手に取る教科書になっています。君の仕事ぶりは丁寧で、決して手を抜かないものでした。それでいて若い社員には気さくに声をかけ、技術を惜しみなく教えてくれました。君に育てられた社員たちが、今では各現場の中心となって活躍しています。君が会社に残してくれた最も大きな財産は、こうした人の輪だと私は思っております。ご遺族の皆様には、改めて心からお悔やみを申し上げます。会社としてできる限りのことをさせていただく所存です。君が築いてくれたものづくりへの誠実な姿勢を、会社の礎として守り伝えていくことを、ここにお約束いたします。〇〇君、長きにわたり本当にありがとうございました。どうか安らかにお休みください。
恩師や兄弟に読むときの例文
職場以外で頼まれることの多い、教え子が恩師に読む弔辞と、兄弟が読む弔辞の例も載せています。恩師への弔辞は教えを受けた場面と今に生きている学びを、兄弟への弔辞は幼いころからの思い出と家族への言葉を中心にまとめると、それぞれの関係らしさが出ます。
教え子が恩師へ
〇〇先生。高校で三年間お世話になりました、卒業生の〇〇です。先生がご逝去されたという知らせを、同級生からの連絡で知りました。同窓会でお会いした時のお元気な笑顔が思い出され、今も胸がいっぱいです。先生は国語の授業で、教科書の文章を声に出して読むことの大切さを、事あるごとに教えてくださいました。人前で話すのが苦手だった私に、文化祭の朗読を任せてくださったのも先生です。本番の前日、放課後の教室で練習に付き合ってくださり、うまく読めたら黒板の端に小さな丸を描いてくださいましたね。あの丸が、どれほど私の自信になったか分かりません。卒業式の日には、ご自身の手書きの言葉を添えた小さな栞を、クラス全員に一枚ずつ手渡してくださいました。そこに書かれた「声は人を励ます」という言葉を、私は今も手帳に挟んで持ち歩いています。先生は、生徒一人ひとりの良いところを見つけるのが本当に上手な方でした。成績が振るわない生徒にも、得意なことを見つけて声をかけ、居場所を作ってくださいました。今日ここに、世代の違う大勢の卒業生が集まっていることが、先生のお人柄を何より物語っていると思います。ご家族の皆様、先生を長く支えてこられたことに、教え子の一人として感謝申し上げます。私は今、小学校の教員をしています。先生にしていただいたように、子どもたちの小さな努力を見逃さない教師でありたいと思います。〇〇先生、本当にありがとうございました。どうか安らかにお眠りください。
兄弟へ
兄さん。弟の〇〇です。兄さんに向かって改まって話すのは、照れくさくて、思えば生まれて初めてかもしれません。入院してからも、見舞いに行くたびに、自分の体より母さんのことばかり心配していた兄さんの姿が、目に焼きついています。子どものころ、兄さんは私の憧れでした。自転車の乗り方を教えてくれたのも、初めて釣りに連れて行ってくれたのも兄さんです。川で大きな魚を釣り上げた私より、兄さんのほうがうれしそうにはしゃいでいたのを覚えています。大人になってからは、私が仕事で行き詰まるたびに、何も聞かずに酒に付き合ってくれましたね。私が結婚するときには、緊張で言葉に詰まった私の代わりに、両家の前で場を和ませる挨拶をしてくれました。あの日の兄さんの頼もしい背中は、私にとって一生の宝物です。兄さんは、家族のことを一番に考える人でした。父が亡くなってからは、長男として母さんを支え、私たちきょうだいの相談役を引き受けてくれました。自分のことは後回しにして、周りを気づかう兄さんに、私はずっと甘えてばかりでした。親戚の集まりでは、いつも台所に立つ母さんを手伝い、片付けまで黙って引き受けていた姿を思い出します。義姉さんや甥たちのことは、私たちきょうだいで力を合わせて支えていきます。母さんのことも、兄さんに代わって私がしっかり見守ります。兄さんが大切にしてきた家族の絆を、これからも守っていくと約束します。兄さん、ありがとう。兄さんの弟に生まれて、本当によかった。どうか安らかに眠ってください。
社葬やお別れの会で読むとき
社葬や合同葬、ホテルなどで開くお別れの会では、取引先や業界関係者も多く参列します。そのため、会社を代表する立場で読む弔辞は、社内の人だけに通じる言葉や略称を避け、誰が聞いても状況がわかる表現にするのが一般的です。
お別れの会は宗教色のない形で行われることも多いため、「ご冥福」などの仏教の言葉は使わず、「安らかにお休みください」のような言葉で結ぶと場に合います。式次第によって読む時間が細かく決まっていることもあるので、事前に担当者へ長さを確認しておきます。
職場の弔辞で気をつけたいこと
仕事上の失敗談や、病気や事故の詳しい経緯には触れないのが一般的です。遺族がつらい思いをするうえ、参列者にとっても聞きづらい話になるためです。笑いを誘うエピソードを入れる場合も、故人の人柄が伝わる温かいものにとどめます。
原稿ができたら、忌み言葉が混じっていないかを確かめておくと安心です。忌み言葉チェッカーに貼り付ければ、避けたい言葉と言い換えの例を確認できます。構成や長さの基本は弔辞の書き方にまとめています。
よくある質問
- 会社の代表として読む場合、名前の前に肩書を付けますか?
- 弔辞の末尾には日付のあとに会社名と役職、氏名を書くのが一般的です。読み上げるときも、最後に役職と名前を述べて締めくくります。
- 部下の弔辞を上司が読むとき、敬語はどの程度使いますか?
- 故人への呼びかけは生前の呼び方で構いませんが、遺族や参列者に向けた部分は丁寧な言葉づかいにします。語りかける部分と報告する部分で調子を分けると読みやすくなります。
- 社長の代わりに総務の担当者が読んでもよいですか?
- 遺族の了承があれば問題ないとされます。その場合は冒頭で「社長に代わりまして」と一言添え、会社を代表して読むことを伝えます。
出典・確認日
表書き・水引・墨・お札などのしきたり:一般的な慣習をまとめたもの(2026年10月14日確認)。