しきたりノート

目上の人への手紙の書き方

目上の人への手紙は、「拝啓」か「謹啓」で始め、尊敬語と謙譲語を使い分けて、白無地の便箋に縦書きで書くのが一般的です。

二重敬語や「前略」「追伸」は避け、結びで相手の健康を気づかってから結語で締めます。

目上の人への手紙で気をつけたいこと

項目考え方・補足
尊敬語と謙譲語を使い分ける相手の行為には「なさる」「くださる」、自分の行為には「いたす」「申し上げる」を使います。
二重敬語を避ける「おっしゃられる」「拝見させていただく」のように敬語を重ねた表現は、丁寧すぎて不自然とされます。
前略は使わない前文を省く「前略」は目上の人への手紙には避け、「拝啓」か「謹啓」で始めます。
追伸は避ける目上の人への手紙では、追伸を付けると失礼と受け止められることがあります。
便箋と封筒白無地の便箋に縦書きで書き、白い和封筒に入れるのが一般的です。

恩師や上司、取引先の役員など、立場が上の人に手紙を書くときは、内容と同じくらい言葉づかいが印象を左右します。とはいえ、難しい言葉を並べる必要はありません。相手の行為を高める言い方と、自分の行為をへりくだる言い方を正しく分けるだけで、文章は落ち着いた丁寧なものになります。頭語と結語の組み合わせは頭語と結語の対応表にまとめています。

尊敬語と謙譲語の使い分けの例

尊敬語は相手の動作に使い、謙譲語は自分の動作に使います。たとえば相手が来ることは「お越しになる」「いらっしゃる」、自分が行くことは「伺う」「参る」と書きます。相手が見ることは「ご覧になる」、自分が見ることは「拝見する」です。相手が言ったことは「おっしゃる」、自分が言うことは「申し上げる」と書き分けます。

もらう場面では、相手からもらったものについて「いただく」「頂戴する」、相手が与えてくれたことを「くださる」「賜る」と表します。「ご指導を賜り」「お心遣いをいただき」のような形は、お礼の手紙で特によく使われます。

二重敬語と避けたい表現

丁寧にしようとするあまり、敬語を重ねてしまうことがあります。「おっしゃられる」は「おっしゃる」に「られる」を重ねた形で、「おっしゃる」だけで十分です。「拝見させていただきました」も「拝見しました」で足ります。「お伺いさせていただく」のように謙譲の表現を三重に重ねた形は、くどい印象を与えるとして避けるのが一般的です。

また、「ご苦労さまでした」は目下の人をねぎらう言葉とされ、目上の人には「お疲れさまでございました」や「ありがとうございました」が無難とされます。「了解しました」も、改まった手紙では「承知いたしました」とする人が多いです。時候の挨拶を省く「前略」や、書き忘れを補う「追伸」は、手を抜いた印象になるとして、目上の人への手紙では使わないのが一般的です。

便箋と封筒、書く順番

便箋は白無地か縦罫線のものを選び、黒か濃い青のペンで縦書きにします。封筒は白い和封筒が無難で、色付きや柄物は親しい相手に向けたものと受け止められることがあります。縦書きの決まりは縦書きの手紙の書き方で、恩師へのお礼の文例は先生・恩師へのお礼の手紙で紹介しています。

書き出しと結びで印象が決まる

目上の人への手紙では、最初の数行と最後の数行がとくに読まれます。書き出しでは、季節の挨拶の後に「先生にはお変わりなくお過ごしのことと存じます」のように相手の様子を気づかい、本題に入る前に一呼吸置きます。結びでは「末筆ながら」と前置きしてから、相手の健康や活躍を願う言葉を添えると、文全体が締まります。季節に合った結びの言葉は手紙の結びの文例に月ごとにまとめています。

よくある質問

メールではなく手紙にしたほうがよい相手はいますか。
改まったお礼やお詫び、年配の恩師などには、手紙のほうが気持ちが伝わりやすいと考える人が多いです。
敬語に自信がないときはどうすればよいですか。
一文を短く区切り、「です・ます」を基本に、相手の動作だけ尊敬語にすると間違いが減ります。
パソコンで作った手紙でもよいですか。
事務的な連絡なら構いませんが、お礼の手紙は手書きにする人が多いです。少なくとも署名だけは手書きにする書き方もあります。

出典・確認日

表書き・水引・墨・お札などのしきたり:一般的な慣習をまとめたもの(2026年10月14日確認)。