退職届と退職願と辞表の違い
退職願は退職を願い出る書類、退職届は退職を届け出る書類、辞表は役員や公務員が使う書類です。
| 項目 | 考え方・補足 |
|---|---|
| 退職願:会社に退職をお願いする書類 | 会社が承諾するまでは撤回できる場合があるとされます。 |
| 退職届:退職することを届け出る書類 | 会社に届いた後は、一般的には撤回できないとされます。 |
| 辞表:役員や公務員が職を辞するときの書類 | 会社員が出すのは退職願か退職届です。 |
三つの書類は、何を伝えるかが違う
退職願は「辞めさせてください」というお願いで、会社の承諾があって初めて退職が決まります。退職届は「辞めます」という届け出で、会社に届いた時点で退職の意思表示として扱われます。辞表は、会社の取締役などの役員や公務員が職を辞するときに出すもので、雇われて働く社員が使う言葉ではありません。社員が「辞表を出す」と言うことがありますが、実際に出す書類は退職願か退職届です。
撤回できるかどうかの違い
民法第97条第1項は、意思表示は相手に届いた時から効力を生じると定めています。退職届は辞めるという意思表示そのものなので、会社に届いた後は一般的には一方的に取り消せないとされます。退職願は承諾を求める申し出のため、会社が承諾する前なら撤回できる場合があります。迷いが残っている段階では退職願を、気持ちが固まってから退職届を、という使い分けがされるのはこのためです。
どちらを出すか迷ったとき
最初に確かめたいのは会社の就業規則と、決まった様式があるかどうかです。会社が退職届の様式を用意していれば、それに記入して出します。指定がない場合は、上司と退職日を相談している段階なら退職願、退職日の合意ができてから出すなら退職届とするのが一般的です。転職先が決まっていて日付を動かせないときは、話し合いの後に退職届を出す人が多いです。
会社から書類を求められたとき
上司や人事から「退職届を出してください」と言われたら、求められた種類で出すのが一般的です。自分から辞める場合と、会社から退職を勧められた場合とでは、書類に書く理由が変わります。会社から勧められて辞める場合に「一身上の都合」と書くと、自分の都合で辞めたように読まれることがあるため、理由の書き方を確かめてから出してください。内容に納得がいかないときは、総合労働相談コーナーで相談できます。
役員や公務員の場合
会社の取締役や監査役は雇われている社員とは立場が異なり、職を退くときは辞表や辞任届を出すのが一般的です。公務員も、職を辞するときの書類を辞表や辞職願と呼ぶことがあり、所属する組織が定めた手続きに従います。同じ「辞める」でも、雇用契約を終える社員と、任期や任命で職に就いている人とでは使う書類の名前が変わると考えるとわかりやすくなります。
自分の立場がはっきりしないときは、就業規則や雇用契約書に書かれた呼び方を確かめるのが確実です。
書類の名前より大切なこと
どの書類を選んでも、退職日と辞める意思がはっきり書かれていることが一番大切です。題名だけ整えても、日付があいまいだったり宛名が抜けていたりすると、受け取った側が手続きを進められません。迷ったら会社の担当者に確かめてから書くと、二度手間を防げます。
手元に控えを残しておく
どの書類を出す場合も、提出前にコピーを取るか写真を撮って控えを残しておくと、後で日付や文面を確かめたいときに役立ちます。いつ誰に渡したかもメモしておくと安心です。
よくある質問
- 退職届を出した後で気持ちが変わったらどうなりますか。
- 退職届は会社に届いた後は一般的には取り消せないとされます。どうしても撤回したい場合は、会社と話し合って同意を得る必要があります。
- アルバイトやパートでも退職届は必要ですか。
- 勤め先の決まりによります。書面を求められなければ口頭で伝える人も多いですが、いつ伝えたかを残すために簡単な書面を出すこともあります。
- 辞表と書いて出してしまったら無効ですか。
- 書類の題名だけで効力が決まるわけではないとされます。ただ、会社の中での扱いに迷いが生じるため、社員であれば退職届か退職願と書くのが一般的です。
出典・確認日
表書き・水引・墨・お札などのしきたり:一般的な慣習をまとめたもの(2026年10月14日確認)。
退職の申し入れ:民法 第627条・第628条・第97条(e-Gov、2026年6月24日施行の版、2026年10月14日確認)。