戒名料の考え方
戒名は売り買いする品物ではなく、授けてもらったお礼として葬儀のお布施に含めて納めるのが一般的で、全日本仏教会も「戒名」「法名」は商品ではないとしています。お礼の額は、位号や院号の有無、読経する僧侶の人数、お寺とのつながりなどで変わり、宗派や団体が示している決まった額はありません。
中立的な調査で戒名だけの金額を示したものは見当たらなかったため、このページでは金額の数字を載せていません。
「戒名料」という言い方について
全日本仏教会は、2015年の理事長談話で、お布施はサービスの対価ではなく、同じように「戒名」「法名」も商品ではないとし、お布施を企業が定額で表示することに反対してきたと述べています。日蓮宗の研究機関の論考によると、全日本仏教会は2000年に「戒名(法名)料」という呼び方を用いないことを申し合わせています。
浄土宗も、お布施は読経や法事への報酬ではなく、布施行という仏道の修行に由来するものと説明しています。「戒名料」という言葉は広く使われていますが、お寺に話すときは「戒名のお礼」「お布施」と言うほうが、お寺の考え方に沿った言い方になります。
お礼の額が決まる仕組み
自治体の消費生活センターの冊子には、読経に来る僧侶の人数や、いわゆる戒名の格付けなどによって、お包みする金額はさまざまだと書かれています。そのうえで、布施は本来、定価を示すものではないとしています。実際にお礼の額を左右するのは、主に次の点です。
- 位号:信士・信女、居士・大姉など、どの位号を授かるか
- 院号:院号を付けるかどうか。浄土真宗本願寺派では、院号は宗門の護持や社会への功労が認められた人に授与すると規程で定めています
- お寺とのつながり:代々の檀家か、葬儀で初めてお願いするか、これまでお寺を支えてきたか
- 葬儀の規模:読経する僧侶の人数や、通夜から葬儀までの日数
- 地域:同じ宗派でも、地域によってお礼の考え方が違うこと
位号による違い
位号の違いは、戒名の「ランク」と呼ばれることがあります。一般的には、信士・信女よりも居士・大姉、さらに院号の付いた戒名のほうが、お礼の額が大きくなると言われます。ただし、どの位号を授けるかは故人の信仰や、お寺や社会とのかかわりを見てお寺が決めるもので、遺族が額を出して選ぶものではありません。院号を希望するときは、葬儀の前に住職に相談します。
位号そのものの意味と一覧は戒名とはにまとめています。
金額の数字を載せていない理由
このサイトでは、金額の数字は、発行元、調査の年、回答者の数がわかる中立的な調査のものだけを載せています。戒名について調べたところ、葬儀にかかわる費用の調査は、戒名のお礼を読経のお布施と合わせて「寺院への費用」として集計していたり、報告書の引用に許可が必要だったりして、戒名だけの金額を示す中立的な調査は見当たりませんでした。
全日本仏教会と大和証券が2022年12月に行ったインターネット調査(回答6,184人)では、お布施の金額を「お寺が明示することが必要」と思う人が53.5%でした。金額がわからないことに困っている人が多いことはうかがえますが、この調査も金額そのものは調べていません。
お礼の額の確かめ方
いちばん確かなのは、菩提寺に直接尋ねることです。「戒名のお礼はどのようにお包みすればよいでしょうか」と聞けば、失礼にはあたりません。答えが「お気持ちで」だった場合は、葬儀を担当する葬儀社に、そのお寺で同じような葬儀をした家がどのくらい包むことが多いかを尋ねる方法があります。親戚に、同じお寺で葬儀をしたときの様子を聞くのも参考になります。
お布施との関係
戒名のお礼は、通夜と葬儀の読経のお礼と合わせて、一つの「御布施」の封筒に入れて渡すのが一般的です。別の封筒に分けるよう言われた場合は、お寺のやり方に合わせます。葬儀のお布施の包み方と渡し方は葬儀のお布施とお布施の渡し方で紹介しています。
よくある質問
- 戒名のお礼は後から払ってもよいですか。
- 葬儀の当日か、葬儀の後に改めてお礼に伺うときに渡すのが一般的です。分けて納めたい事情があれば、住職に相談します。
- 院号を付けないと失礼ですか。
- 失礼にはなりません。院号の有無は、故人とお寺のかかわりや遺族の考えで決めます。
- 戒名の位号を後から変えられますか。
- お寺によっては、後から位号を改めることもあります。菩提寺に相談してください。
出典・確認日
戒名料という言い方とお布施:全日本仏教会「「Amazonのお坊さん便 僧侶手配サービス」について理事長談話」(2015年12月24日)、日蓮宗現代宗教研究所の論考(全日本仏教会の平成12年の申し合わせを紹介)、浄土宗「よくある質問」(2026年10月25日確認)。全日本仏教会の2000年の申し合わせは、原文が公開されていないため、それを紹介した論考によっています。
お礼の額が決まる仕組み:葛飾区消費生活センター「くらしにいかす No.44 お葬式 お墓 供養」(令和7年1月)、浄土真宗本願寺派「院号授与規程」(2026年10月25日確認)。
調査:「仏教に関する実態把握調査(2022年度)」(公益財団法人全日本仏教会・大和証券株式会社)(2026年10月25日確認)。戒名だけの金額を示す中立的な調査は見当たりませんでした。葬儀費用の調査には、戒名のお礼を読経のお布施と合わせて集計しているものや、引用に許可が必要なものがあります。